藤原仲忠(ふじわらのなかただ)~うつほ物語~

宇津保(うつほ)物語の主人公。清原俊蔭を外祖父に持ち、琴の秘曲を受け継ぐ一族に生まれる。幼い頃は母と共に山の中の木の洞(うつほ)に暮らす。父・藤原兼雅に見つけられてからは、貴族の生活をはじめる。源涼(みなもとのすずし)と親友。

絶世の美女・あて宮に求婚し、彼女も悪い気はしていなさそうだったが、彼女の東宮入内により失恋。

帝の女一宮の降嫁を受け、女一宮とおしどり夫婦に。長女・犬宮を儲ける。

「宇津保物語」落書き1・仲忠母


藤原仲忠母 清原俊蔭女 尚侍

第一回失業認定から帰ってから、急に描きたくなりました。「宇津保物語」主人公仲忠の母です。
彼女は俊蔭から不思議な琴とその技法を受け継ぐもので、15歳ごろ、父亡き後零落していた時に、摂関家の坊ちゃんと一晩を過ごし、仲忠をもうけます。その後もっと零落して、仲忠とともに15年ほど洞窟に住んでいたのに全く容色が衰えず、美しさが増していたと言うちょっと人間離れした母君です。


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主人公の仲忠自身の絵がないな・・・・(^_^;)
うつほ物語読書日記をサイトから転載します。


2003.8.16.(日) 「宇津保物語」読書日記


一昨日、図書館に「宇津保物語」を借りに行きました。てっきり現代語訳付のものがあると思っていたのですが、近所の図書館には現代語訳がなかったので、原文にチャレンジしています。
私は歴史が好きですが、古文を読むのは苦手なので(←こんなんでええんか!)、途中で話の筋が分からなくなるのでは、と不安でしたが、註が詳細なことと、文体が男性的できびきびしていたので、テンポ良く読み進められて、意味も取れて、ほっとしています。

現在「忠こそ」を読み終わった所です。自分を誘惑した継母に陥れられて出家をした、忠こその運命に涙を誘われます。自分になびかない男を恨んで、苦境に追い込む女の話って、「旧約聖書」にありました。「千夜一夜」でも良く見たような気もしますが、手元になく確認できませんでした。作者は俊蔭をペルシャに行かせる位ですから、西方の物語事情に通じていたのでしょうねぇ。

「俊蔭」の巻で、「管弦の遊び」が具体的に描写されていたのが新鮮でした。「源氏」ではさっさと省略されてしまっていたので。禄をもらう時の男性の拝舞ってかっこよかっただろうな~!描いてみたいよう!

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追記:「源氏物語~千年の謎~」のエンドロールで、生田トーマくんが、拝舞の再現をしていました!感激!

「宇津保物語」落書き3・真砂君

真砂 まさご

「宇津保物語」の「あて宮」への懸想人である宰相・実忠の息子、真砂君(まさごのきみ)です。
実忠と北の方の間に出来た息子で、父を非常に慕っています。でも、父はあて宮に夢中で全く家に寄り付かず、父を慕いながら、十四歳で亡くなります。とっても不憫な男の子です。源氏物語の真木柱にとっても似ています。

父は、あて宮を手に入れられるように祈りに行った先で、真砂君の法要に遭遇し、伏し転んで悲しみます。父が彼の死を悲しんだ所が、少し救いがあるといえば言えるでしょうか。

ところで、うつほ物語は藤原氏全盛の時代より少し前に出来上がったので、高官に、橘、源、平、良峯など、藤原以外の姓が多くて、新鮮です。

「宇津保物語」落書き4・あて宮同母兄、仲純(なかずみ)

源仲純

「宇津保物語」の「あて宮」の同母兄である仲純です。彼はあて宮が妹であるにも関わらず、彼女に懸想しています。
このシチュエーションは、篁物語の小野篁の様です。

仲純は、何度もあきらめようとするけれど、あきらめられず、一人身を保ち、妹の周りをうろうろしています。

恋文を送っても無視されるため、(当たり前と言えば当たり前だけど・・)思い余って、あて宮の一つ上の姉である、八の君に、恋の仲立ちを頼むほど思いつめています。

少し顔が曲がってしまったけれど、切なげな雰囲気が出ているので、このままアップしてしまいます。

洒落た桜色の直衣を着せてみました。

宇津保物語落書き5・仲忠父、右大将 藤原兼雅

藤原兼雅

宇津保の主人公、仲忠の父である右大将の藤原兼雅です。太政大臣の次男で、12,3歳にして、ちらと見かけた仲忠母に強引にアタック!・・早熟・・。当時仲忠母は15歳。年下だからって軽くいなそうとする仲忠母の所に強引に突進して、子供を作ってしまった・・。
それから15年後、色好みの彼は女三宮など複数の妻をもらっていましたが、仲忠母をうつほで発見したら、今までの妻をほっぽって、桂院を造って二人で気ままに暮らす、脳天気とうちゃんです。

出世のために琴を弾くことを嫌がる息子に、帝の前で無理やり弾かせる様にもって行く、計算高い所もあり。

建物や催しに色々工夫をする風流な所もあります。

しかーし、私が納得いかないのは、息子も求婚しているあて宮の求婚者に、彼もしっかり名を連ねているって事!吹上の巻では、まだ35歳位だから、資格はあるのかもしれないけど、仲忠母もいるのにぃ!・・ま、まだまだ色気ムンムン、野心満々のパパさんです。

追記*****

前回のつぶやきで、仲忠の父、兼雅があて宮に求婚しているのは納得できない!と書きました。
今日読んだ部分で、彼があて宮に求婚している理由が分かりました。「菊の宴」で、あて宮が春宮へ入内する事が決まりかかったのですが、そこでにわかに兼雅の動きが慌しくなったのです。どんな手を使ってでも、あて宮を手に入れようとし始めました。

以下は私の推察ですが、兼雅はあて宮の事を真剣に愛しているのではなく、春宮への入内を阻止したいというのが真の目的なのだと思います。なぜなら、春宮へは兼雅の娘が入内しており、春宮の覚えもめでたいのですが、子供がありません。

ここであて宮が入内して、春宮の寵愛を独占し、皇子を生んだら、外祖父になるという自分の野望が駄目になってしまいます。だから、兼雅はあて宮を自分の妻にして、入内を阻止し、ついでに将来自分のライバルになりそうなあて宮の父、正頼を自分の側に取り込んでしまおうと思ったのではないでしょうか。・・・まぁ、天下の色好み兼雅さんの事だから、趣味と実益を兼ねているのでしょうが・・。

宇津保物語落書き6・源実忠の北の方

実忠 北の方

あて宮への恋心が募り、家を捨て家族を捨てて、恋の成就を目指して神仏に願掛けばかりしている源実忠の北の方です。以前に描いた「真砂君」の母親です。
彼女は美人の誉れ高く、実忠に捨てられた後に、多くの求婚者が現れます。(オデュッセウスの妻みたいですね。)しかし北の方はその誰とも縁付かず、実忠を待っていました。

「菊の宴」の最後に、求婚者達から逃れて近江に隠れ住んだ北の方の所に、それとは知らず願掛け帰りで出会った実忠と仲忠が訪れる場面があります。北の方は元夫の声を聞き、「夫なのだろうか?でも夫なら鬼の声がするはずだわ。」という台詞があります。

註にも書いてありましたが、自分達家族を捨て、真砂君を死なせた実忠を鬼と言う北の方の気持ちは悲しくて、切なくて涙を誘います。

結局北の方は実忠を家に入れ、はっきり名乗らないまま、自分がそれだとほのめかせるような歌を詠みかけます。でも、実忠はその事に気づかず、ピント外れの歌を返して、気づかないまま都に帰ります。

 

ああ、実忠・・・。間抜けすぎです。目の前の幸せを見ろ!という感じです。

※私は彼女を華奢な美女のイメージで捉えました。はたから見たら、「なんでこんな美人をほうっておけるの?」と言う様な。

袖君

袖君 実忠女

真砂君と同じく、あて宮懸想人である源実忠と北の方との娘、袖君です。
彼女は父が去った後、真砂君の最後を看取り、その後滋賀で、母と共に風雪を耐えてきました。

宇津保の「国譲・中」で、17歳の袖君と35歳の母は、実忠の兄弟によって都に呼び戻されるのですが、その際に袖君の美しさが「御髪いとめでたし。頭つき御有様いと美しげにおはす」と描写されます。

私は、袖君のイメージを、自分の非常な美しさに気づかず、自分を甲斐ないものと思い込んで静かに物思いにふけっているという様に捉えていますので、その様に描いてみました。

源 凉(みなもとのすずし)

源涼

平安時代に、宇津保物語で、仲忠と人気を二分していた源 凉(みなもとのすずし)です。

彼は、嵯峨院(あて宮が入内した春宮の祖父)と、紀伊の長者、神南備 種松(かんなびのたねまつ)の娘である、嵯峨院の女蔵人との間に生まれた皇子です。母は早くに亡くなったので、大金持ちの祖父によって、紀の国(今の和歌山県)の吹上の浜で内裏の様な御殿の中で下にも置かず大事に育てられた貴公子です。

仲忠らが吹上に来て、彼の存在を帝に伝え、殿上人として取り立てられます。彼は歌も琴も上手く、一時はあて宮の求婚者の中に連なりましたが、あて宮入内後はあて宮の妹、さま宮の婿となり、娘を儲けます。

初めは主要登場人物の扱いでしたが、最後の方には、「源氏物語」の頭中将のように、仲忠の引き立て役になってしまいます。それでも全く腐らず、仲忠を親友と慕い、宴の際には祖父の財で心憎い豪華な品々を人々に贈り、折りある毎には仲忠に琴を聞かせてくださいとねだる、可愛い奴です♪

私的には、二つ好きな場面があります。

一つ目は、仲忠の娘、犬宮が生まれたときに仲忠が上機嫌になり珍しく琴を弾いたときに、ちょうど寝ていた時だから、驚いて、その音を聞きたいがために、冠をよこざまにかぶり、直衣も指貫もぶら下げて、その前を開いて、無様な格好で人前を走ってきた場面。

二つ目は、犬宮と仲忠が楼にこもって琴の練習をしている時に、仲間はずれにされた妻・女一の宮が仲忠に怒って、冬の夜に仲忠を閉め出した時に、自分の部屋に温かく迎え入れ、共に寝る場面です。

温かく、ちょっと抜けてて、人の好い凉の人柄が見えてきませんでしょうか。

※薔薇子様が、最新の学説に基づいて、凉の妻は、正頼の十四の君・さま宮だと教えてくださいました。したがって、それに基づき、妻の名をさま宮に訂正いたします。薔薇子様、ありがとうございましたm(__)m   2003.9.27.

あて宮

今日は、昨年引っ越してから片付けられていないダンボールを朝からひっくり返して、何とか夕方位にはやっつけられました。

その後に、この連休中はデッサン人形用の6分の1の大きさの単・袿を作っていて全く描けていなかったイラストを、「ストレス解消っ!」とばかりに描きました。



平安時代中期に書かれたはじめての長編小説で、『源氏物語』にも影響を与えたと言われる『うつほ物語』の第二部の女主人公・あて宮です。

「あて宮」は、源正頼大将の九女で、あまりの美貌のため、東宮(皇太子)から同母兄、老人、僧侶に至るまで十指に余る人々から求婚をされます。

「あて宮」自身は本心では男主人公の藤原仲忠に心惹かれているようですが、自家の将来を考え、自分の感情に惑わされず、東宮に入内します。

小悪魔的で頭が回りそうな美女のイメージがありまして、それを表そうとすると少し萌え系の絵になりました。




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